豆腐の製造で使用される食品添加物は「凝固剤」「消泡剤」です。
凝固剤:豆乳を固める目的で使用されます。
消泡剤:生呉を煮る際に生じる泡を消す目的で使用されます。

凝固剤(塩化Mg(にがり))凝固剤豆乳を固める
消泡剤(グリセリン脂肪酸エステル)消泡剤生呉を加熱した際に生じる泡を消す
消泡剤(レシチン)消泡剤生呉を加熱した際に生じる泡を消す
消泡剤(炭酸Mg)消泡剤生呉を加熱した際に生じる泡を消す
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豆腐の食品添加物はどんな目的でいつ使われるの?

・「消泡剤」は生呉を加熱する(下図製造工程④)際に生じる泡を消し、食感のよいきれいな豆腐に仕上げるために使用されます。
・「凝固剤(豆腐用凝固剤)」は豆乳を固めるため、下図製造工程⑥で使用されます。

※絹ごし豆腐、充填豆腐の場合は製造工程が異なります。
絹ごし豆腐:①~⑥までの製造工程は木綿豆腐と同じ⇒豆乳(濃いめの豆乳)に凝固剤を加えてそのまま固めます。※木綿豆腐の⑦崩し、圧搾成形工程がありません。
充填豆腐:①~⑥までの製造工程は木綿豆腐と同じ⇒凝固剤を加えた豆乳をパックに充填(注入)⇒加熱して固めます。

豆腐の凝固剤「にがり」とは?

そもそも「にがり」とは「海水から食塩を除いた苦味のある液体」のことをいいます。
※「にがり」には塩化マグネシウムなどのミネラルが含まれています。

食品表示に関わる定めでは、塩化マグネシウム(塩化Mg)粗製海水塩化マグネシウムを豆腐の製造に使用した場合、粗製海水塩化マグネシウムを食用塩にした場合に限り、特例として「にがり」と付記することができます。
例)凝固剤(塩化Mg(にがり))
×添加物名を省いた「にがり」だけの表記、「凝固剤(にがり)」の表記は認められていません。

豆腐の食品添加物:豆知識①凝固剤(豆腐用凝固剤)の表示について

食品表示に関わる法律では「凝固剤」「豆腐用凝固剤」は一括名のため、使用した食品添加物の物質名表示を省くことができます。

※一括名表示とは…砕いて説明すると「この添加物とこの添加物は添加物の名称ではなく、ざっくり一括名(香料、調味料、凝固剤など)でまとめて表示してもOK」ということです。

【凝固剤又は豆腐用凝固剤と一括表示できる添加物】
塩化カルシウム(指定添加物)
塩化マグネシウム(指定添加物)
グルコノデルタラクトン(指定添加物)
硫酸カルシウム(指定添加物)
硫酸マグネシウム(指定添加物)
粗製海水塩化マグネシウム(既存添加物)

ところが、実際の表示は「凝固剤(塩化Mg(にがり))」のように添加物の名称が記載されています。

これは豆腐製造の事業者団体が自主的に定めたルール「公正競争規約」で【「豆腐用凝固剤」または「凝固剤」と表示し、凝固剤にあってはその物質名を、凝固剤製剤にあっては原則として製剤に含まれるすべての物質名を併記して表示するものとする】と定められているためです。

つまり「豆腐に関しては法律よりも厳しい自主基準で添加物の表示がされている」といえます。

公正競争規約(景品表示法第31条に基づく協定又は規約)とは、景品表示法第31条の規定により、公正取引委員会及び消費者庁長官の認定を受けて、事業者又は事業者団体が表示又は景品類に関する事項について自主的に設定する業界のルールです。 参考)消費者庁_公正競争規約

豆腐の食品添加物:豆知識②消泡剤の表示について

食品表示に関わる法律では、豆腐の「消泡剤」は使用したとしても「最終食品への移行量がわずかでその機能を発揮しないため」表示しなくても良いとされています。

⇒豆腐に「消泡剤」の添加物表示があった場合(表示の義務はないが)消費者に分かりやすくするため自主的に表示した可能性があります。

さらに、豆腐製造の事業者団体が自主的に定めたルール「公正競争規約」では【「豆腐用消泡剤」または「消泡剤」と表示し、原則として消泡剤に含まれるすべての物質名を表示するものとする】と定められています。

豆腐に「消泡剤」の表示があった場合は「法律よりも厳しい自主基準で添加物表示している」といえます。

参考)とうふ類の表示に関する公正競争規約および同施行規則(7/25修正原案)