「酵素」の表示は一括名です。
「酵素」と一括表示できるおよそ70の添加物は天然由来添加物です。
※「酵素」と表示できる添加物には遺伝子組み換え技術で作られたものがあり、リスク評価が不十分との意見があります。

                                                                                                                 
表示に記載の添加物名酵素
添加物の表示方法一括名
天然・合成天然由来添加物
添加物分類指定添加物・既存添加物
使用用途酵素
主な使用食品食品全般

食品表示「酵素」の読み方

「酵素」の表示は一括名です。
「酵素」と一括名で表示できる添加物は70種類ほどあり、この表示からどの添加物を使用したのかを特定することはできません。

【酵素と一括名で表示できる添加物はこちら】

「酵素」の使用用途

食品の製造、加工の工程で触媒作用(澱粉の液化、乳製品加工、果汁の清澄、タンパク質の加工、食肉の軟化など)を目的として使用
※最終食品でも失活せず(通常は最終食品で失活するものが多い)その酵素固有の効果を有するもの。

例)チーズ製造で乳を凝固させる目的で使用するレンネット(凝乳酵素)

「酵素」の製造方法(天然由来or化学合成)

「酵素」と一括表示できるおよそ70の添加物は天然由来添加物です。

「酵素」についての懸念点

酵素に対しての懸念を示す意見

食品添加物として使用される「酵素」対して懸念を示す意見が一部にはあります。
※科学的根拠が乏しいものも含まれているため注意が必要です。

注意)「酵素」を含む、日本で使用される食品添加物は食品安全委員会により安全性が確認されています。

1.アレルギーのリスク
・一部の人は、酵素(特にタンパク質由来のもの)に対してアレルギー反応を示す可能性があると主張します。
・消費者が口にする量では基本的に問題ないとされますが、「アレルゲン表示がされていないこと」を不安視する人もいます。

2.遺伝子組み換え微生物由来の酵素
一部の酵素は、遺伝子組換え微生物(GMO)によって生産されます。
遺伝子組換え技術そのものに反対する立場から、これを危険視する意見があります。

指定添加物の「アスパラギナーゼ」は遺伝子組み換え技術によって作られた添加物であり、リスク評価が不十分との意見があります。
参考)遺伝子組み換え添加物の安全性に疑問――生活クラブ生協連合会が食品安全委員会に意見を提出

小藪浩二郎『食品添加物用語の基礎知識_第二版』(マガジンランド)には「つまり微生物由来の酵素は不純物がいっぱいで、微生物は毒も作ります。ですから、最も心配されるのはアレルギーと有害物質です」とあります。

一括表示「酵素」の不透明さ

「酵素」の表示からどの添加物を使用したのかを特定することはできません。

【酵素と一括名で表示できる添加物】
<指定添加物>
アスパラギナーゼ
プシコースエピメラーゼ
<既存添加物>
アガラーゼ
アクチニジン
アシラーゼ
アスコルビン酸オキシダーゼ
α-アセトラクタートデカルボキシラーゼ
アミノペプチダーゼ
α-アミラーゼ
β-アミラーゼ
アルギン酸リアーゼ
アントシアナーゼ
イソアミラーゼ
イヌリナーゼ
インベルターゼ
ウレアーゼ
エキソマルトテトラオヒドロラー ゼ
エステラーゼ
カタラーゼ
α-ガラクトシダーゼ
β-ガラクトシダーゼ
カルボキシペプチダーゼ
キシラナーゼ
キチナーゼ
キトサナーゼ
グルカナーゼ
グルコアミラーゼ
α-グルコシダーゼ
β-グルコシダーゼ
α-グルコシルトランスフェラーゼ
グルコースイソメラーゼ
グルコースオキシダーゼ
グルタミナーゼ
酸性ホスファターゼ
シクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ
セルラーゼ
タンナーゼ
5’-デアミナーゼ
デキストラナーゼ
トランスグルコシダーゼ
トランスグルタミナーゼ
トレハロースホスホリラーゼ
ナリンジナーゼ
パーオキシダーゼ
パンクレアチン
フィシン
フィターゼ
フルクトシルトランスフェラーゼ
プルラナーゼ
プロテアーゼ
ペクチナーゼ
ヘスペリジナーゼ
ペプチダーゼ
ヘミセルラーゼ
ホスホジエステラーゼ
ホスホリパーゼ
ポリフェノールオキシダーゼ
マルトースホスホリラーゼ
マルトトリオヒドロラーゼ
ムラミダーゼ
ラクトパーオキシダーゼ
リパーゼ
リポキシゲナーゼ
レンネット

参考)食品加工用酵素の現状について
参考)食品用酵素の市場動向